リウマチ・パーキンソン
パーキンソン(当院の考え)
パーキンソン病は厚生労働省が「特定疾患」に指定している難病です。
難病というのは、治らない病気であり徐々に進行していきます。
パーキンソン病の改善には、西洋医学による治療だけでなく鍼灸治療を加えることが有効です。現在、病院で行っている治療に、当院の始原東洋医学による治療を組み合わせていくことで「震えが止まった」「歩き方が変わった」といった症状の改善が見られ患者さんやご家族の方にも大変喜ばれております。
パーキンソン病でお困りの方、ご家族の方はお気軽にご連絡して頂けたらと思います。
治療
パーキンソン病、パーキンソン症候群による治療は、頭の循環不全の解消を目的に行っております。
始原東洋医学による治療では、病態を寒(循環不全)と熱(炎症)の2つに大別して考えますが、現在私が経験しているパーキンソンの方は、寒(循環不全)がほとんどです。治療を行うとその直後から症状の変化を自覚される方が多いです。治療中に震えが止まって、帰りの歩き方が良くなる方もいらっしゃいます。また、続けて頂くことで治療効果は持続していきます。病気の期間が長い方、症状が直ぐに戻る方にはご自宅で赤い印をつけた場所に心地よい処方灸をしてもらうことで治療の持続効果を高めています。
身体の声を聞く始原東洋医学による鍼灸治療の効果を体感してください。
パーキンソン病とは?
パーキンソン病は、脳からの指令がうまくいかず、震えたり、関節が固まってスムーズに動けなくなる病気です。1817年にイギリスのジェームス・パーキンソンにより「振戦麻痺 (shaking palsy) 」という名称で初めて報告されました。
パーキンソン病は60歳以降の発症が多く、高齢になるほど発症率および有病率は増加します。20歳代の発症することもあり、40歳以下で発症した場合を若年性パーキンソン病と呼びます。症状に差はありません。 日本における有病率は1万人に10~15人といわれています。欧米では1万人当たり30人と見積もられており、日本の有病率はやや低いようですが、明らかな人種差や地域差があるかは不明です。
厚生労働省の「特定疾患」に指定されており、ヤール重症度分類Ⅲ以上になると治療補助が受けられます。また厚生労働省特定疾患医療受給件数の統計によれば、2006年(平成18年)度の受給件数は86,452件であり、全特定疾患中潰瘍性大腸炎に次いで多くなっています。ヤール重症度分類Ⅲ以上を基準にしているので、実際の患者数はもっと多くなると思います。
簡便な病期診断として、5段階の病期分類があります
(ホーエン・ヤール分類)
- 1度 一側性パーキンソニズム
(身体の片側のみに症状がでる) - 2度 両側性パーキンソニズム
(身体の両側に症状が出る) 姿勢反射障害がない - 3度 軽度~中等度のパーキンソニズム。姿勢反射障害あり。日常生活に介助不要
- 4度 起立・歩行はなんとかできる。日常生活に介助が必要。
- 5度 1人で起立・歩行ができない。ベッド又は車椅子生活
姿勢反射障害とはバランスがとりづらくなる症状のことでバランスをとろうとして、膝を曲げて、軽く前かがみになった姿勢になります。歩いていると前のめりで小走りになったり、転びやすくなることもあります。
症状 [4症状 安静時振戦 筋固縮 無動(寡動) 姿勢保持反射障害 ]
パーキンソン病の主な症状は「手足がふるえる(振戦)」「筋肉がこわばる(筋固縮)」「動きが遅い(無動)」「バランスがとりづらい(姿勢保持反射障害)」の4つです。
また、よく眠れない、便秘、トイレが近くなるなどの症状がある人もいます。これらの症状は病気の程度により変わってくるようです
手足のふるえ(振戦)
指にみられることが多いが、手や足、顎などにもみられます。
安静にしているときにふるえが起こることが本症の特徴で、なにかをしようとすると少なくとも一瞬は止まります。
歩いているときや緊張している時に強まります。
筋肉がこわばる (筋固縮)
力を抜いた状態で患者さんの手を持ってゆっくりと肘を曲げるように動かすと歯車のようにカクカクした抵抗がみられる現象があります。
患者さん自身が気がつくことはほとんどありません。進行してくると、
- 動作がぎこちなくなる
- 歩くと片方の腕の振りが悪く足を引きずるようになる
- 手足がしびれる
- 顔の表情筋が拘縮されると無表情になります。いわゆる仮面様顔貌です。
動きが遅い(無動)
動きが遅くなったり、少なくなったりする症状を無動といいます。
- 歩行開始時に第一歩を踏み出せない(すくみ足)
- 細かい動作がやりにくくなり、動作が全体にゆっくりとして、小さくなる。
- 文字を書かせるとだんだん小さくなっていきます。(小字症)
- 声が小さく単調になってきます。(小声症)
- 顔の表情が無くなります。(仮面様顔貌)
- 寝返りができなくなります。
また、小刻み歩行、前傾姿勢、などが特徴的であります。
すくみ足で足がでにくい人に、床に目印となる線などを引き、それを目標にして歩かせたり、障害物をまたがせたりすると、普通に大またで歩くことが可能できます。
患者さんでは、1度1歩下がると歩けると言われた方がいました。
バランスがとりづらい(姿勢保持反射障害)
バランスがとりづらくなる症状を姿勢反射障害といいます。バランスをとろうとして、膝を曲げて少し前かがみになった姿勢になります。転びやすくなったり、歩いているうちに前のめりで小走り(加速歩行)になってしまうこともあります。
- 立ったときに少し前かがみになる。
- 歩くときに小股ですり足になる。
- 少し押しただけでも転んでしまう。
- なかなか足が前に出ない。
- 歩いていると小走りで止まらなくなる。
その他の症状(便秘・排尿障害・睡眠障害・よくうつ)
自律神経の症状として、便秘。トイレが近いといった排尿障害、夜中になかなか眠れない、昼間眠くなるといった睡眠障害、やる気がなくなる抑うつ気分などがあります。
パーキンソン病と似た病気
脳梗塞など脳の病気や薬(抗不安剤、降圧薬、胃薬など)が原因であるパーキンソンと同じような症状を示すことがありますが、原因も治療法も違うため、パーキンソン区別して「パーキンソン症候群(パーキソニズム)」と呼んでいます。その他にも、けがや感染症などが原因でパーキンソン病とよく似た症状があわられることもあるようです。
診断
パーキンソン病の検査は、脳を取り出しての病理解剖での所見になるので今のところありません。
症状のところで書いたものに当てはまるようでしたら、神経内科に相談されることをお勧めします。
病院では、前述の症状とCTやMRIでの画像所見に異常が認められないこと(特徴的な所見を示す神経変性疾患や脳血管障害性パーキンソニズムを除外する)、Lドーパ投与で症状が軽減するなどで臨床的にパーキンソン病と診断されているようです。
関節リウマチ(当院の考え)
関節リウマチは、原因不明の多発性関節炎を主病変とする慢性の炎症性疾患です。
主に関節に炎症が起こって痛みや腫れが生じ、進行すると関節の破壊と変形をきたします。当院に来られる方で一番多い訴えが痛みです。痛みに対するコントロールは鍼灸治療の得意とする分野です。当院では全身の状態をみて診察、治療を行うので、治療直後に痛みが取れて楽になられる方が多いです。
関節リウマチの多くは、病変が進行性です。関節破壊は発症してから2年ぐらいの間に進むことがわかってきています。関節リウマチを疑う場合は、なるべく早く治療を開始して、病気の進行を抑えることが重要になります。
治療
始原東洋医学による治療では、病態を寒(循環不全)と熱(炎症)の2つに大別して考えますが、私がこれまで診てきた関節リウマチの方は、ほとんどが寒(循環不全)です。局所では炎症が起きているのですが、病気の元になっているのは頭の循環不全なのです。
治療を行うと、その直後から痛みが軽減するのを自覚される方が多いです。痛みが取れて身体が軽くなるので歩きやすいといわれる方もいます。また、定期的な治療により、曲がらなかった指が曲がるようになった方もいます。
すでに破壊されてしまった関節を元に戻すことはできませんが、当院の鍼灸治療を行うことで病気の進行を未然に防ぐことができます。
関節リウマチでお困りの方、ご家族の方は、なるべく早めにご相談いただければと思います。
関節リウマチとは?
従来「慢性関節リウマチ」と呼ばれていましたが、2002年に「関節リウマチ」という表現に改められました。
関節リウマチは、代表的な膠原病のひとつです。膠原病とは、全身の膠原線維(コラーゲン線維)にフィブリノイド変性という病変がみられる疾患群の総称です。古典的に定義された膠原病が、全身性エリテマトーデス、強皮症(全身性硬化症)、皮膚筋炎、多発性筋炎、関節リウマチ、結節性多発動脈炎などの疾患であり、なかでも最も多いのが関節リウマチで、2番目に多い全身性エリテマトーデスのおよそ15倍に達するといわれます。
どのような人に起こるのか?原因は?
関節リウマチの根本的な原因は不明ですが、何らかの要因により免疫機構に異常が生じて発症すると考えられています。発症に影響を及ぼす因子として、遺伝的な素因やウイルス感染などが挙げられます。日本での罹病率は全人口の0.3~0.5%と推定されており、男女比は1:4で女性に多く、30~50歳代に好発します。
関節リウマチでは、本来は自分自身(=自己)を守るために働く免疫機構の異常により、関節内の滑膜と呼ばれる結合組織が「自分ではないもの(=非自己)」とみなされ攻撃されてしまうことで炎症が生じます。初期には滑膜の炎症のみですが、進行すると軟骨や骨の破壊が起こり、関節は変形し、癒合して動かなくなります。また、全身の結合組織でも炎症が生じ、多彩な症状が出るようになります。
どのような症状が出るのか?
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関節症状
関節リウマチが好発するのは、手指の第二関節(近位指節間関節)、手指の付け根の関節(中手指節関節)、手関節、足指の付け根の関節(中足趾節関節)などの小さな関節です。病気の進行にしたがって、膝関節や肘関節などの大きな関節や頚椎も侵されます。このような関節に、多発性・左右対称性に炎症が生じてきます。
初期には、朝起床時に関節がこわばるのが特徴です。滑膜に炎症が生じると関節に大量の水分が貯留し腫れてきます。この腫れは、睡眠中など長時間にわたって関節を動かさない状態が続いた直後に最も強くなるので、朝起床時にこわばりを感じることになります。そして殆どの場合、この関節のこわばりは1時間以上続きます。
関節リウマチの初期と似た症状が、加齢によって生じる変形性関節症でもみられますが、痛む部位と朝のこわばりの持続時間によってある程度鑑別することができます。手指の変形性関節症が好発するのは、指の第一関節(遠位指節間関節、ここに発症したものが「ヘバーデン結節」)や指の第二関節(近位指節間関節、ここに発症したものが「ブシャール結節」)です。朝のこわばりも認められますが、殆どは10分程度で症状が消失します。関節リウマチの場合、指の第一関節が侵されることは殆どなく、また関節炎は多発性に起こるので、「指の第一関節だけが痛み、朝のこわばりは短時間で消失する」のであれば、関節リウマチではなく変形性関節症を疑うことになります。
関節リウマチでは、滑膜の炎症により関節痛や関節の腫れが起こり、さらに炎症が進行して軟骨や骨まで破壊されると、動きが制限されるだけでなく、「スワンネック変形」、「ボタン穴変形」、「尺側偏位」、「外反母趾」といった関節の変形が生じます。 -
関節外症状
関節リウマチは、その名称のため関節が病気の場所として注目されがちですが、実は全身の結合組織が侵される疾患なので、関節以外の場所に多彩な症状がみられます。
まず、微熱、全身倦怠感、易疲労感、食欲不振などの全身症状がみられます。また、リウマトイド結節(リウマチ結節)と呼ばれる皮下結節が生じます。結節とは、小さいこぶのようなしこりのことです。関節リウマチの場合、痛みが無く、肘の外側や後頭部など圧がかかって擦れやすい部位に好発する傾向があります。患者の約20%でみられ、皮下結節を認める場合は、概して病気の活動性が強いことを示します。その他、間質性肺炎、血管炎、胸膜炎、心膜炎、心筋炎、強膜炎、虹彩毛様体炎など多彩な症状がみられます。
また、続発性アミロイドーシスによる腎障害や心障害、シェーグレン症候群(主に唾液腺や涙腺に炎症をきたし、口や眼の乾燥症状が生じる疾患)などの合併症が起きることもあります。
診断
関節リウマチの診断には、米国リウマチ学会がつくった診断基準が一般的に広く使われています。
関節リウマチの診断基準(米国リウマチ学会)
- 1時間以上続く朝のこわばり(6週以上続く)
- 3領域以上の関節の腫れ(6週以上続く)
- 手関節、中手指節関節、近位指節間関節の腫れ(6週以上続く)
- 対称性の関節の腫れ
- 手、指のX線写真の異常所見
- 皮下結節
- 血清リウマトイド因子(リウマチ因子)陽性
※上記7項目のうち、4項目以上があれば関節リウマチと診断されます。
リウマトイド因子は、患者の約80%で陽性となりますが、関節リウマチ以外の膠原病などでも陽性になることがあります。ですから、リウマトイド因子陽性だけでは関節リウマチであると断定することはできません。
その他、血液検査では、赤血球沈降速度やCRPが炎症の程度を知るのに用いられます。
病院での治療法
関節リウマチの治療目標は、関節の疼痛緩和、関節の破壊・変形による機能低下の防止、関節外症状や合併症の対処、QOLの改善などで、西洋医学的には薬物療法と理学療法を組み合わせて行われますが、場合によっては人工関節置換術などの外科的療法が取られることもあります。