小児喘息5歳 女の子
こんにちは!鮫島です。
湯たんぽのお湯を入れ替え、治療室に入ると、待合室から、「ゴホン、ゴホン」と咳の音が聞こえてきました。「あれ?喘息の子かな?」
とても苦しそうな咳に聞こえたので、思わず待合室のカーテンを覗きました。
お母さんの隣で手を繋ぎ、マスクをしている小さな女の子が来ていました。
一週間くらい喘息のような咳が毎晩止まらず、ほとんど寝られていないとお母さんが心配そうに話していました。
病院では「小児喘息」と診断されていました。
今回の発作が出てから一週間点滴をうけに病院へ通っていましたが、発作が治らないこの感じだとまた一週間入院をするなと覚悟していたそうです。そんな時、お母さんがふと当院を思い出されました。
お母さんは3年前に肩こりで2年前に腰痛で当院に来られていたことがありました。
「そういえば?喘息にも鍼灸が良かったような気がする」と思い出したそうで、娘さんを連れて来られました。
治療室に入ると、女の子はベッドの上に立ってキョロキョロと周りを見ていて落ち着かない様子でした。緊張と不安そうな顔で「何をするの?」とお母さんに聞いていました。
ベッドの上では咳が止まらず、本当に苦しそうでした。
望診すると、お腹に反応があり、「喘息だと頭に反応があるのだけど、お腹に反応があるね。」と言って服をめくってお腹をみると手術の痕がありました。お母さんが『「先天性の横隔膜ヘルニア」で手術をしているんです。』と話していました。
「喘息の原因はこっちかもね。」と院長が言われ、お腹の上にお灸をすると、咳の感じが変わってきました。
次第に呼吸も落ち着いてきました。
ベッドの隣で寄り添っていたお母さんは「え~。不思議。」と言いながら目をまん丸くしていました。
「ご自宅でもお腹の上(印のつけている場所)にお灸をして貰いたいのですが、出来そうですか?出来れば毎日して下さい。」と院長が伝えると、
お母さんは娘さんの手を握りながら「お灸がんばろうね。」と話していました。
治療後、あれだけ苦しそうにしていた咳が止まっていました。
翌朝、治療院にお電話がありました。
「おかげ様で昨日の夜は朝まで起きずに眠れました。治療が効いていると思ったのですが、今朝からまた咳がひどくなりました。病院に連れて行った方が良いですか?」
「お~良かったですね。今日はお灸されましたか?」
「昨日は帰ってからすぐお灸したのですが、今日はまだしていません。」
「じゃあまずお灸をして、それで駄目だったら病院に行きましょうか。」
「そうですね。またご連絡します。午後は予定通り行きますので予約はそのままでお願いします。」
そして夕方、予約の時間に来られました。
「あれから結局病院行きませんでした。お灸で大丈夫でした。」
お母さんは目の前で起こっている出来事をまるでキツネにつままれたような感じで不思議そうに話してくれました。
「朝まで起きずに眠れたのは一週間ぶりです。今日も宜しくお願いします。」
治療して3日目のことです。
女の子のマスクが取れていました。待合室に座って女の子がニコニコと笑っている姿を見てびっくりしました。
咳はほとんど落ち着いていました。
鍼灸院にも慣れたようでスタスタとお母さんの手を引いて治療室に入っていきました。初めて来られた時が嘘のようです。ベッドに寝ているだけでも泣き出しそうになるくらい治療を怖がっていました。治療を重ねていくと、痛いことをしないところだと気付いたのか安心したように表情も和らいでいきました。
治療が始まると、スースーと寝息が聞こえるくらい、気持ち良さそうに治療をうけられています。
はじめの1週間は1日おきに治療に通われていましたが、赤い印をつけた場所に毎日自宅でお灸をしてくれたおかげで次第に1週間に1回、2週間に1回と治療の間隔も空いていきました。
今では病院に通うことはなくなり、喘息の薬も飲んでいないそうです。家でのお灸も1日1回で調子が良いですとお母さんが嬉しそうに話して下さいました。
4回目の治療以降、咳の音を聞かなくなりました。
本当に驚かされました。元気な姿が見られて嬉しく思います。
治療に来られて本当に良かったです。
自宅で行う毎日のお灸で対処できるようになってきたので、治療間隔も空いてきました。
このまま、順調に回復してくれることを祈っております。